「行頭禁則」といって、日本語で文章を書
く時の基本的なルールだよ。『行の頭に書い
てはいけない文字』
というのが予め決まって
いて、それらの文字は行の頭に来ないように
するわけだ。こういう場合に限って、一行は
二十文字を越えてもいいことになっている。

代表的な『行頭禁則文字』は、句読点や、
かっこのたぐいの閉じる方(、。」』》”)

や、長音を示す記号だ。長音というのは「ワー
プロ」のように音を伸ばす際に使われる記号
(ー)のことだ。「オンビキ」と呼ぶことも
あるね。
「ジョージ・ワシントン」とかで使う「・」
のことだ。これは「中黒(ナカグロ)」と呼
ぶ記号で、行頭禁則文字に該当する。

反対に、行のおしりに来てはいけない文字
も決まっているんだ。そういった場合にも
「行末禁則」といって、一行の文字数を調整
して、その文字がおしりに来ないようにする
んだ。この行から三行前を見てごらん。十九
文字しかないだろう。これは、次の行の頭に
ある『「』、かぎかっこの最初の方が、『行
のおしりに来てはいけない文字』
になってい
るから、次の行の頭に追い出しているからな
んだ。
代表的な『行末禁則文字』は、かっこのた
ぐいの始まりの方(「『《“)だ。


禁則でもう一つ。「々」などの繰り返し記
号も行頭には来ない。
この処理には二つあっ
て、行末にぶら下げてやるか、あるいは、日
日、といった具合に記号の使用をやめるかだ。

無言の表現には「三点リーダー」
と呼ばれる記号を二文字重ねるのが原則だ。
「…」が三点リーダー。点が三つあるだろう。
だから三点リーダーというんだね。実際に使
う時には「……」という風になる。

セリフなんかで使われるのは「かぎかっこ」
というかっこだ。かぎかっこにはもう一つ
『ふくろかぎかっこ』というものもある。
重かぎかっことも呼ぶな。これは小説では、
主にセリフでないことを明らかにするために
使われることが多い。店の名前のような固有
名詞
に使われることが多いみたいだな。

「!」と「?」じゃないかと思う。そ
れぞれ正式な名前は「感嘆符」と「疑問符」
だ。英名では「エクスクラメーション・マー
ク」と「クエスチョン・マーク」になる。
 これは、文中に書かれた場合には、その次
に一文字分の空白を空けることが規則
になっ
ている。例えば! こんな具合だ。分かるか
な? 
 ただし、空白を空けてはいけない場合もあ
る。それは、記号のすぐ次に、閉じるかっこ
が来ている場合
だ。小説なら、主にセリフの
中ということになる。
「助けてくれ!」
 とか、
「どういうこと?」

かぎかっこが閉じる前には、句点はつ
けなくてもいい。
 「じゃあ、これでいいんですか」

最初の一マスだ。セリフの場合には、新し
い行の頭だとしても、一マス空ける必要はな
いんだ。
「ここは詰めていいんですね」