新人賞受賞のための小説の書き方

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情景、動作、心理の描写の混ぜ方

僕は、彼女の手を取り歩き始めた。彼女はそっと微笑む ← 動作のみ

信号が変わる。僕は彼女の手を取り歩き始めた。 人ごみの中で、彼女はそっと微笑む
情景
______動作___________情景_____動作


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シーンをスローにして、 そこに主人公の「考えたこと」を混ぜる

これで、少し大切なシーンとなるのと、そのあとの 会話がクローズアップされる。

 

「お疲れ」
カナは、ロビーに着いたユリを見て、小さな声で呟く。
「カナさん、今日はいつもより素敵ですね」
「今日は送別会だったの」
ユリは鞄を置いてソファーに腰を下ろす。
「友達のですか?」
「私のよ」
「…え?」
カナはタバコを灰皿に押し付け、ユリの目を見つめる。
「私、留学する事にしたの。来月にはここを出るわ」


↓


「お疲れ」
カナは、ロビーに着いたユリを見て、小さな声で呟く。
「カナさん、今日はいつもより素敵ですね」
「今日は送別会だったの」
ユリは鞄を置いてソファーに腰を下ろす。
「友達のですか?」
「私のよ」
「…え?」
全く想定外の答えに、ユリは一瞬何と返してよいのかがわからなかった。
ユリの知る限り、彼女は今の最高の成績を出しているはずだった。辞める理由など
どこにもない。しかも、来月には昇進も控えているのに、こんなタイミングで
辞めるのが考えられなかった。ユリは、その理由が全く理解できなかった。
カナはタバコを灰皿に押し付け、ユリの目を見つめる。
「私、留学する事にしたの。来月にはここを出るわ」  

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人称
【一人称の特徴】
・自分の心を描く文体であるため、心理描写が非常に簡単に出来る。
・心理描写が頻繁に出てきても違和感がない。
・その代わり、自分が見ていない物は書けない。
・他人の気持ちを描写できない。

         

【三人称の特徴】
・あくまで客観的に書くので、事実は事実として書ける。
・心理描写が難しく、頻繁に使うとバランスが崩れる
・主人公のいないシーンを書く事が出来る。
・誰の気持ちでも書けるが、あまり長く深くは書けない

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希望の国のエクソダス (文春文庫) 4167190052

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410106508X
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